:: aquadrops ::

重役ポーズでふんぞりかえる

 

打ち合わせ中や、人の話を聞く時、どうしても姿勢が保てない。

足を組み、腕を組み、背もたれによりかかり、アゴを上げ、気がつくと重役ポーズ。社長の方が姿勢が良くて、自分マズイなと思い、何度も姿勢を直す。すぐに落ち着かなくなってくる。見た目、社長よりも偉そうかも、と思う。

疲れるんだよ、体が丈夫でないので。と自分に言い訳。

思い出した。

20年前くらい、私は毎日、ある会社の社長室に出入りしていた。我が社の社長は姿勢良いのだけど、来客で来られる重役の方々はたいてい、革のソファにのけぞって着席していて、さらに、会話の内容がゆるくて、みなさん大袈裟に笑い、どうよ、と質問をされ、返答が難しい時がある。みなさんものすごく優しかった。

グループ会社の役員室にも、ときどき行ったが、さらに一段と緊張感のあるレッドカーペットの長い廊下、豪華な家具、そこの方々は、絵に描いたように、ふんぞりかえっている。

疲れるよな。

社内全員が、重役と会話する時は極度の緊張状態。毎日、全員から緊張を投げかけられる重役の仕事というのは並大抵ではないと思った。当時、我が社の社長だけが少し若く、姿勢良くビシッとしていて、強いなと思っていた。私だったら倒れそうだ。よくランチにも誘っていただいたが、ほんの20分くらいで食べ終わり、先に戻られるのだ。

一度、夕食会の後に、社長の別宅にみんなで行ったことがあった。平日は家族のもとに帰らず、別宅で過ごすとか。本当に並大抵の精神力ではないと思った。

他社の重役の方々は、そこそこの年齢で疲れるだろうし、重圧に耐えかねると見え、楽な姿勢をし、幼い会話をする。偉そうに人を見下しているわけではないと思う。だって、すごく優しい。

私もまだまだあの時の社長の年齢には至らない。疲れている場合じゃないな。