:: aquadrops ::

音楽と映像の融合

 

最近、音楽と映像の融合という言葉が聞かれなくなったが、
ここにひとつ、融合の形を創ってみた。

稲荷 -INARI the God of Harvests- 音楽+映像

稲荷 -INARI the God of Harvests- 2004.04 音楽のみ

北京でのライブが決まったとき、
「日本」を紹介できる音楽を、
と思って創り始めたら、こんなことが頭に浮かんだ。

光。
目いっぱいの光。
その奥に見えるもの・・・
夢の中でキツネが手招きをしている。
招き猫なら見たことがあるが、
招きキツネなんてあるものか。
きっとただの夢にすぎない。

ある古い宿場町がある。
東海道五十三次にも出てくる古い街だ。
都会とは思えない古びた街で、駅前の商店街は、
あらもの屋、ぞうり屋、おもちゃ屋、着物屋、駄菓子屋、
寿司屋、そば屋、床屋、茶碗とホース屋、時計とボール屋、、、
挙げ出したらきりがない。
いつ見てもお客はいない。

この商店街を歩いていると、はっとさせられるものがある。
狭い路地の奥に見える真っ赤なもの。
心をえぐるような赤。
とっさに目をそむける。

何年たっただろうか。
北京行きが決まったとき、
なぜか「あの赤いもの」を思い出し、少しばかり興味が湧いた。
ついにあの路地に入る時が来た。

・・・そこにあったのは、小さな稲荷神社。
おそるおそる中を覗くと、そこにいたのはなんと手招きをしたキツネだった。
そしてその隣の行き止まりには、銭湯。
しかも見たことがある。
まだ小学校3年生だったが、
あの下駄箱もベンチも、当時と何も変わっていない。
頭の中が、一気に白昼夢へと引き寄せられた。

この一帯にお稲荷さんは3つあるが、他のは地面に前足をついた普通のキツネだった。
「稲荷」は収穫の神。
たぶんお稲荷さんは年に一度だけ笑うんだ。
稲穂を揺らして、収穫を喜んで。